研究内容のご紹介

運動時のレナラーゼの生理的意義と分子メカニズムの解明

レナラーゼとは?

 レナラーゼとは、2005年に発見された腎臓を中心に体内へ分泌され、カテコールアミンを代謝する機能を持つ分子です。特にカテコールアミンを分解する観点から心機能の維持や血圧の制御に一躍買っていると報告されています(Xu et al.,2005)。また、レナラーゼは、腎臓だけでなく、心臓、肝臓、腸、骨格筋といった様々な臓器にその発現が確認されています。近年では、これらの効果に加えて、細胞保護作用があると報告されています。具体的には、酸化ストレスや炎症時にレナラーゼが抑制効果を持つというものです。

 

運動とレナラーゼ

 我々は運動時に腎機能が低下するにも関わらず、血中におけるレナラーゼが上昇することを明らかとしました(Yoshida et al.,2017)。このメカニズムについて、また運動中におけるレナラーゼの上昇が生理的にどのようなことを意味するのか、腎機能が低下しているにも関わらず、なぜ血中のレナラーゼが上昇するのか、といったことを生化学的な手法を用いて、解明しようと取り組んでいます。時野谷は、30分間の一過性運動をラットに実施させ、運動前後の骨格筋レナラーゼが酸化ストレスによって上昇することを示しました。さらに、速筋である足底筋で、タンパク分解を抑制する細胞保護作用にレナラーゼが関わっていることを示唆しました。

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